自分だけにしかできない仕事がある

操縦士操縦士 松本の物語

ドラマや映画の迫力ある空撮シーンは何によって作られているかご存じだろうか。ラジコンヘリ?ドローン?
もちろんこれらの機体でも空撮はできる。だが迫力はゼロだ。
それに、被写体に対する撮影アングルの重要さは、空撮でなくとも同じである。撮影者のセンスが問われる。
実は、東邦航空のパイロットにしかできないことがここにある。

映画の撮影で、空からの空撮を行う。その時通常はカメラマンや映像ディレクターがヘリに乗り込み、パイロットに指示を出す。パイロットは経験と勘を頼りに、良い映像が撮影できそうな位置まで機体を近づけていく。
被写体は静止しているものだけではない。時に自動車や船舶など他の
乗り物を撮影する場合もある。
ただそうした場合、どうしても機体に掛かる振動や傾きによって、映像にブレが生じる。そうなると使えない映像も多くなる。同時に顧客満足も失うことになる。

東邦航空が日本で初めて取り入れた、スタビライザ装備の4Kカメラは、そうした撮影上の障壁を取り払うことができる。
機体の外側に取り付けられ、システムによって遠隔操作を可能にした高性能カメラだ。縦横はもちろん斜めまで、様々な角度を撮影でき、しかも映像はぶれない。
また、時にパイロット自身が撮影者となって被写体を撮影することもある。

一つのエピソードをパイロットの松本が紹介してくれた。海上保安庁の巡視船を撮影する仕事である。
もともと船の撮影は経験が無く、船の動きに合わせてヘリを操縦するのは難しかったそうだ。
しかも様々な角度からの撮影に加え、普通は行わない低空飛行も行った。しかも飛びなれない航路だけに、先輩などからアドバイスをもらい、
空のローカルルールに合わせ、限られたスケジュールの中で顧客の要望に応えていく。それゆえ、失敗は許されない。
松本はスポンサーから渡されたDVDを何度も見返し、撮影イメージを
膨らませた。
撮影経験のある先輩からコツや注意点を学び、イメージトレーニングを何度も行い、フライトに挑んだ。

万全の準備をしても、予想外のことは起こるものだ。
結局その撮影は天候不良などが重なった為、1か月の予定が3か月に延びた。予定通りに行かず、何とも言えない気持ちになっていたとき、顧客が思わぬ声をかけてくれた。
「大変助かりました!本当にありがとうございました!」と。
その言葉を聞いたとき、いつも以上の達成感を得たという。
今は自分が撮影した映像がどのように映画館のスクリーンに映るのか楽しみにしている。