数十年、数百年に一度の出来事の中で

運行管理運航管理 三上の物語

時には自分が生きている間、遭遇するかしないかの出来事と正対し、仕事を行わなければならない時が来る。
2014年に噴火した御嶽山での取材報道のフライトもその一つだ。
三上が着任している運航管理の仕事は、こういった「想定外」の出来事に対しても、普段の業務で求められる物と同じパフォーマンスを維持しなくてはならない。
だが相手は自然である。すべて思った通りに動いてくれるわけではないし、たった1秒後にも状況が変わるかもしれない。
つまりはその分、忙しくなる。自分の考えるべきこと、判断すべきこと、パイロットへの指示や、国土交通省航空局との連絡も、
やるべきことが短時間の間で濃縮される。
いかに、冷静に対処できるか。それがキーになる。

東邦航空の運航管理として働く三上は、上空を飛ぶヘリコプターの飛行をサポートするほか、国内の航空関連事業を所官している国土交通省航空局との窓口に立ち、さまざまな業務を行う。
具体的には航空局との打ち合わせのほか、機体の登録、改修・保有認可、航路・着陸場所・機体の格納場所の申請などだ。特に航路や着陸場所の申請は1回のフライト毎に行う重要な仕事だ。

国土交通省航空局に行う申請のうち、「場外申請」というものがある。
これはヘリの着陸場所を申請するものだが、本来の指定された空港や公共用へリポートなど以外のポイントに着陸をしたいときに
行うものだ。
この場外申請は緊急時に行うケースが多く、しかも早急に行う必要がある。
場外申請を行わないと、ヘリは空港から給油なしで、行って帰ってこられるところまでしか飛ぶことができない。
場外申請し、給油車を着陸場所に待機させ、そこで燃料補給することで、ヘリの機動性を最大限高めることが可能になる。
三上は現場とのアクセスも良い場所を地図から判断して的確な指示を出す。
御嶽山の取材報道ではそれが求められた。

言うまでもなく、噴火した当初は噴煙が立ち込めており、簡単に近づける場所ではなかった。そこへ、ヘリを飛ばすのだ。
安全に任務を遂行するために運航管理の力が必要になる。
現場は標高が高く、しかも噴煙が上がってくるため風下を避けて周回しなければならない。運航管理としてすべきことは風向きを読むこと。
風向きを読み、パイロットに的確な提案を行う。
自衛隊や救助の人間もいる中で、すべての人の安全を確保していかなくてはならない。
こうした中で求められるのは素早い判断と、慌てることなくタスクを遂行する冷静な精神だ。
感謝の言葉を掛けられることはあっても、それを覚えていないほど、圧縮された時間を過ごす。それがCSだ。